「クリエイターを支援する」をコンセプトに、2011年、コワーキングスペースco-ba(コーバ)を立ち上げたツクルバ CEO 村上浩輝さん。co-baを中心に、クリエイター同士が本棚をシェアできるco-ba Libraryや、ボトルを持ち込んで仲間と分け合えるシェアダイニング1K(ワンケー)など独特の"場"作りで脚光を浴びてきました。村上さんの"場"へのこだわり、そして、"場"を通じた今後の野望を語っていただきました。
学生時代に「場づくり」に関心があって、「カフェをやりたい」と周囲に話していたら、「カフェやりたいとかいうヤツよくいるよね」「飲食店は甘くないよ」とか言われてしまって。それが非常に悔しくて、言いだしたからには絶対やってやろうと、ここで何もやらなかったらそれこそカッコ悪いなと思って、池袋にカフェをオープンを実現したのが始まりです。
いまは、そのカフェを一緒につくった仲間と(株)ツクルバを設立して、渋谷の会員制ワークスペース「co-ba」、池袋のダイニングバー「1K」を初め、空間の企画設計から、プロモーション、運営までワンストップでプロデュース出来るコンサルティングファームとして活動しています。
さらに昔を振り返ってみると、僕は場を「つくる側」では無くて、場を「つかう側」でした。小さい時からイベント事を開くのが好きで、高校生の時は地域の高校生バンドを集めたライブハウスでのイベント、大学生の時は関東の大学生ダンサーを集めたクラブでのイベントを開催していました。
ただ、イベント開催を通じて感じていたことですが、自分一人ががんばってイベントを主催し続けることにジレンマがありました。どこまでいっても自分一人が出来ることは限られているし、規模が小さいと感じていたんだと思います。自分一人が企画したイベントを開催し続けるより、自分みたいな企画する人間が使える場をつくる方が、社会にとって有用で価値があるなぁと。
その頃から、プレイヤーになるよりも、プレイヤーが活躍する「場をつくる」側に回りたいという想いがありました。
場をつくる側に回りたかったのは、僕が人見知りだからというのもあるかもしれませんね。イベントが大規模になればなるほど、自分はその中心にいるのでは無くてそっと遠くからみんなが盛り上がっているのを見ているタイプだったんです(笑)。
リアルな"場所”をつくりたくて不動産デベロッパーに入社。
その間に、大学の仲間たちと池袋にカフェをオープンして、それが軌道に乗ってきたときに、場を作る空間プロデュースを事業とするツクルバを設立しました。
リアルな"場所”をつくるにはたくさんのお金が必要なので、お金集めがいつも大変。ただ、何が何でもやる気持ちがあれば何とか集まるものです。
場の発明とは、色んな人が使うことができるプラットフォームを生みだすこと。
誰かの思い通りになる予定調和の世界ではなく、それぞれが自分の意思で活動し、それが交わることで化学反応がおきて、想像を超えるモノが生まれるような場です。
僕らがつくったco-baでは、コワーキングスペースとして、さまざまなクリエイターが集まっていますが、ただのワークスペースではなく、入居者同士が気軽に相談したり、アドバイスを求めたり出来るように企画して環境を設計しました。受託の仕事をお願いしたり、入居者同士で新しいサービスが生まれようにしかけたり、具体的にクリエイターを支援することも行っています。
最近では、ドキドキチロルパズルというチロルチョコを使ったアプリをリリースし、広告を出さずに1カ月で40万ダウンロードを記録しました。
これは、受託でいただいたお仕事ではなく、私とco-baに集まるクリエイターで企画し、チロルチョコに持ち込んだものです。
企画、デザイン、開発、広報までco-baのクリエイターと共に行いました。
co-baの良さは、このようなプロジェクトがあくまで自然発生的に生まれることであり、たまたまこのプロジェクトは私も参加していますが、関係性はあくまでフラットなんです。
入居者同士が「これ面白そうなんだけど一緒にやらない?」「こんなことできない?」など、互いに補完し合いながら、あちこちで新しいプロジェクトが生まれてきています。
現在、co-ba自体でも事業として成り立っていますが、プロジェクトが自然に生まれてくる現象についても取材をされることが多くなりました。
事業の収益性と社会性の実現。
例えばco-baでは上記のような取り組みが注目を浴びているように見えますが、まだそれが珍妙な光景だから注目して頂いているだけで、
ここから生れたものが大きな収益をあげたり、社会に影響を与えるまでには至っていません。
それはこれから発展していければ良いなと思っています。
我々の発明した場を通じて、新しい市場、経済圏が生まれていきます。
20代〜30代:
ツクルバ設立、様々な場を発明し、発展させていく
30代〜40代:
生み出した場の発展を引き続き推進、後進の育成を進める
40代〜50代:
次世代にバトンタッチ、後進の指導